私にとっての山村留学とは、自分が生きた足跡がしっかり残せた時間だと思う。
10年前のことでも鮮明に記憶に残っているのは、私の人生の中でも刺激的な体験ばかりだったという事実と、その体験が今の私を作り上げてきたと感じられるからだと思う。
私は山村留学をしていた時は、心がとても弱く、常に周りの人の態度や言葉を気にしては傷付いていた。こんなに頑張っているのにどうして?といつも自分しか見れずに、生活を楽しむ余裕などなく、不安ばかりが大きく膨れ上がっていた。その中で和太鼓を始め、音が一つになり、上達していく喜びからチームワークの大切さを学び、太鼓で奏でる音の強さと共に、自身の弱さを強さに変えていけた気がする。言葉ではなく音によって語り合った時間は、一人ひとりがよく見えた瞬間でもあり、私自身も仲間から評価してもらい、弱い部分も受け入れる勇気を与えてもらえた。この勇気は今でも私を作り続けていて、弱い部分を強さの糧にしながら、これからも夢に向かって頑張っていける気がするのである。心を常に強く持ち、自分を信じることで毎日が大切だと思えてくる。目に見て分かるくらいの変わった部分は無いかもしれないが、私が一番大切だと思うことは、山村留学での体験をしっかり振り返り、その後の歩む道につなげることだと思う。そう考えられたのも、大岡での生活を新たなスタートラインにし、自分を信じ、大切にできる人こそが、周りの友達、家族を大切にできるということを山村留学中に学び、自分を高められる高校に行き、夢であった保育士が現実になろうとしているからかもしれない。今の私は、環境で自分自身が変われることを実感し、人と関わり、コミュニケーションをはかることがどれだけ大切で必要かと思うことができた。深く濃い10年間になった。そして今の私があると感じている。
山村留学中、温かな生活環境を築いてくださいました指導員の皆様、農家のお父さんお母さん、一期・二期の仲間には言い尽くせない感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。そして、これからも山村留学をしに来る子ども達を温かく迎え入れて頂きますようにお願い申し上げます。