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体験しながら学ぼう!仲間たちとの暮らしの中で自分を知ろう!

育てる会八坂美麻学園            で働いている 公益財団法人育てる会 八坂美麻学園 統括主任 赤坂 隆宏 さん

八坂美麻学園の特徴について教えてください

 今や全国各地に広がっている山村留学という制度はもともと、ここ大町市八坂地区(旧八坂村)から始まりました。以来、今日に至るまでの約50年の間に延べ2,200人もの修園生が、この学園から巣立っています。
 当園の大きな特徴としては、約30人という大人数での共同生活を送っていること、また、月の半分を地域の家庭にホームステイさせていただいていることが挙げられます。日々の暮らしの中で、子どもたち自身の目で物事の本質を捉え、体得できる環境をつくっていく。これが私たちの山村留学です。

ご自身がここで働くことを選んだ理由をお聞かせください。

 私は宮城県の田舎町で生まれ育ちました。その後、教員を目指して東京の大学に通うことになるのですが、ある都心の小学校におけるボランティア活動に参加した際、考えさせられることがありました。
 土に触れることなくコンクリートの上で遊び、ビル街をすり抜けて帰っていく子どもたち。その姿を見たとき、彼らは大切な少年期を自然体験がないまま過ごし、大人になるのか、と自分が生まれ育った自然環境とのギャップに驚くとともに、危機感に似た感情を抱きました。
 以来、体験をベースとした教育に携わりたいと思うようになり、山村留学というものを知った先で、この園と出会ったのです

都会の学校の教育とどう違うのですか?

 たとえば、日本の文化に深く根付いている稲作。稲作体験ができない都市部の学校環境では、「田植え」、その次は「稲刈り」といったように、机上において断片的なことしか教えられません。しかし実際は、田植えの前にも田起こしや代掻きという重労働があり、苗代で育てた苗を植え、実りの秋を迎えるまでには、雑草や病害虫の駆除、日々の水管理、そして稲刈りをした後も脱穀して精米するという、食するまでに欠かせない作業が待ち受けています。この一連の流れを体験するとしないとでは、「食」に対する意識や理解がまるで違ってきますよね。
 それは稲作に限ったことではなく、思い通りにはならない自然のなかで暮らしてきた人々の知恵や文化、人付き合いに至るまで、日々の暮らしの中で負の要素も含め、自身の体験に基づく経験を積み重ねていきます

子どもたちはここでの暮らしにどれくらいで慣れるものなのですか?

 個人差があるので一概には言えませんが、留学生活自体はおおむね1カ月くらいでしょうか。ただ、四季の変化がはっきりとした山間地での暮らしに慣れるには、やはり1年かかると言えますね。
 
自らの意思で山村留学することを選んだとはいえ、生活には慣れたとしても、自分を出すことや他者との関係に馴染むまでに長い時間を要する子もいます。
 ある子に至っては、なかなか自分の殻を破ることができず、1学期を過ぎても周囲と馴染めずにいました。ところがあるきっかけを得ることで、大きく変わっていったのです。彼女が出会ったのは伝統芸能表現活動として取り組んだ民舞。仲間とともに踊ることに夢中になるにつれ、塞ぎ込んでいた心は解き放たれ、自己表現ができるようになり、自己に自信を持つことで目や表情に力が漲るようになりました。
 1年が過ぎる頃には「もっとここにいたい」と自分の意思をはっきり伝え、最終的には中学3年まで4年間も学園生活を送ることになった
のです。

子どもたちから教わることもありますか?

 日々思うのですが、子ども一人ひとりが持つ底力は本当にすごい。個々に持って生まれた力があり、直面する課題もひたむきに乗り越え、大人の想定を軽々と超えて力を発揮する、そんな子どもたちを心から尊敬します
 教わるというよりも、そんな姿に出会う度に人が成長することの喜びや可能性を感じ、力をもらいます。
親元を離れ、たった一人で新しい環境に飛び込み、他者を通して少しずつ自分を理解し、集団の中で自己を表現していく。もちろん楽しいことばかりでなく、大変なことや負の感情をもつこともたくさん経験するでしょう。たくさんの「あたりまえ」のように目の前にあったものから一度「離れて」みることで、本当の自分の気持ちや感情、個性に基づく興味関心に気づくことができる。
 山村留学をする子どもたちは、そんな、現代の利便さの中で見失いがちな、人が生きる上で大切な姿を体現しているとも言えます。

山村留学を検討されている親御さんに何を伝えたいですか?

 まず、1年もの間お子さんと離れるのは、家族にとっても大きな決断になりますね。
 我が子の成長を目の前で見て育てたいという想いを持つ一方で、離れた時間を過ごすからこそ気づくこともたくさんあると思います。両者にとって、子どもの存在、親の存在、兄弟との絆を再認識する機会ともなります。
 お子さん自身に前向きな意思があることが大前提にはなりますが、時には気持ちがあっても勇気が持てないお子さんには、背中を押してあげることも必要な場合があります。また、家族にとっても「山村留学」にチャレンジする事情やタイミングもそれぞれ異なることと思いますので、まずは親子で体験留学という形で一度お越しいただいて、当園の暮らしを体験し、子どもたちと触れ合ってみてはいかがでしょうか
 また、育てる会では長期休み期間の短期山村留学事業も展開しているため、そちらへの参加を積み重ねた上で1年間へとステップすることもできます

こちらの体験の主催者は、

育てる会八坂美麻学園

です。

  • 子どもだけで留学
  • 併用型

八坂美麻学園(やまなみ山荘)

公益財団法人育てる会
(本部:東京都三鷹市)

電話番号

東京本部 0422-56-0151
八坂美麻学園 0261-26-2306

FAX

東京本部 0422-56-0351
八坂美麻学園 0261-26-2839